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戸籍謄本は自分で翻訳してもよいか?
戸籍謄本の英訳テンプレートは無料で入手でき、用途によっては十分に対応できます。ただし、自己翻訳が通用するかどうかは提出先の要件によって異なります。提出先ごとの規定と、ご自身での翻訳が差し戻しになりやすい原因を整理しました。
提出先ごとのルール
- カナダ (IRCC): 自己翻訳は不可。 IRCC は申請者本人やその家族 (親・きょうだい・配偶者・親族) による翻訳を明示的に認めていません。認定翻訳者でない場合は、第三者の翻訳者が作成した翻訳に宣誓供述書を添えて提出する必要があります。
- オーストラリア (内務省): 事実上不可。 翻訳書類には翻訳者の資格と経験を記載する必要があります。申請者がテンプレート等で作成した翻訳にはその記載がなく、申請者本人の資格を書き添えたとしても、審査で信憑性を疑われる要因になります。
- イギリス (UKVI): 第三者による確認が可能な翻訳であること。 翻訳者による正確性の確認、氏名、署名、日付、連絡先の記載が求められており、UKVI は内務省が独立して確認できる翻訳を求めています。申請者自身の名義で作成した翻訳は、この前提を満たせなくなります。
- アメリカ (USCIS): 規則上は禁止ではないが、リスクがある。 規則で求められているのは完全性・正確性・翻訳能力の証明であり、申請者本人が翻訳することを直接禁止してはいません。ただし、申請者本人が自己の翻訳能力を証明することは利害関係から客観性を欠くとみなされやすく、審査官から疑義を持たれた場合は追加証拠の要求 (RFE) が届くことがあります。RFE への対応には数か月の遅延が生じます。
テンプレートが見落としやすい項目
受理のルールとは別に、記載内容の面で戸籍の翻訳が差し戻されるケースがあります。特によく見られるのは次の4点です。
- 身分事項の注記漏れ。テンプレートは標準的な項目のみを想定していることが多く、戸籍に記載された訂正・転籍・国籍離脱・氏の変更といった注記が反映されません。審査官は原本と英訳の構成を照合して確認するため、未翻訳の箇所が残っていることは最も多い差し戻しの原因です。
- 縦書きの戸籍。1994年以前の改製原戸籍は手書きの縦書きで、和暦や旧字体が使われています。これらにそのまま対応できるテンプレートはありません。
- ローマ字表記の不統一。同一人物の氏名は、戸籍・パスポート・申請書のすべてで同一の綴りでなければなりません。書類ごとに Ito、Itoh、Itou などが混在していると、同一人物の確認のための照会が生じます。
- 元号の西暦換算ミス。昭和・平成・令和から西暦に直す際の1年のズレは自己翻訳で頻発する誤りであり、日付は審査官が重点的に確認する項目です。
自己翻訳で十分な場面
提出先が非公式な用途 (家族関係を確認したい学校、大家、ご自身の記録用など) であれば、ご自身で丁寧に翻訳されたもので十分対応できます。線引きは「その書類をもとに機関が判断を下すかどうか」です。そこから先で費用を払う対象は、翻訳そのものではなく証明に対する対価です。